右岸/辻仁成 ★★☆ 2018/09/21
対となる「左岸」を4分の3ほど読んでからこちらを読み始めた。九が主人公。「左岸」にも登場する人物なので、ああそうだったのかと思うこともあったが、超能力者という奇妙な設定のおかげで、やや入って行きづらい。「左岸」で始が死んで、こちらではネネが死んでと、示し合わせたスターリーラインなんだろうなとか余計なことも考えてしまう。「左岸」が面白かったので、右岸も頑張って読んだという気がしなくもないが、同期して読むのはそれなりに楽しかった。
左岸/江國香織 ★★★ 2018/09/21
うったうったうー、と踊る茉莉のややフーテンなお話で、気に入って読んだいたが、下巻の半ばくらいで、「右岸」という小説を発見。同期させて読んだ。結論から言うと、左岸だけでも良かったかもしれない。むしろ、左岸だけ読んだほうが良かったかもしれない。
下天を謀る /安部龍太郎 ★★☆ 2018/09/14
藤堂高虎を主人公としたお話。荒武者水野勝成や女武者照葉とか出てきて新基軸っぽくお話はスタートするのだが、途中からはほとんど登場しなくなり、高虎を中心に歴史が動いていくという戦国モノにありがちな展開。ややだれてくるが、あとがきを読むと、無節操に主人をころころと変えたという従来の高虎像を破りたかったとのこと。
夏草冬涛/井上靖 ★★☆ 2018/09/10
井上靖の沼津中学校時代の経験をもとにしたらしい、青春もの。前半はややだれたが、後半、知り合った上級生のグループに入って楽しく過ごす姿とか面白かった。
崑崙の玉/井上靖 ★★☆ 2018/09/09
宮本輝が、井上靖に氏の西域ものの中では崑崙の玉が一番と言った、というのが「いのちの姿」にあったので読んでみたところ、西域を舞台にした短編集。同名の短編は冒頭にあったが、玉を求めて黄河源流に向かって旅をするお話。西域は馴染みが薄いので、ロマンがわかないこともない。
帰らずの海/馳星周 ★★☆ 2018/08/22
ハードボイルド小説だと思うのだが、殺された昔の恋人との過去の出来事がやや脆弱で、キーとなったストーカーも不自然な感じ。またポケベルからメッセージが送れたりとか、細部も気になり、途中から「こりゃ駄作だなあ」と諦めたが、最後まで読めた。お風呂で読了。
いのちの姿 完全版/宮本輝 ★★☆ 2018/08/09
Wikipediaの宮本輝のところでは小説として紹介されていたが、エッセー。でも、これまでの宮本輝作品のモチーフとなった、氏自身の体験などについてのエッセーで、宮本輝ファンとしては楽しめた。
天涯の船/玉岡かおる ★★☆ 2018/08/04
明治維新後、身代わりとなってアメリカに留学した少女の人生。船の中で出会った旧薩摩藩の青年との生涯をかけての恋が主題な感じの純愛的なお話。留学中の旧友であり、その青年の妻となった矩子のことが気になる。
火のみち/乃南アサ ★★☆ 2018/07/27
妹のために殺人を犯した兄が、出所後備前焼に取り組みながら妹と交流するも、汝窯の青磁の再現にとりつかれるお話。破滅というわけではないが、内省的になって終焉していく。
地の底のヤマ/西村健 ★★★ 2018/07/13
地底に山があるというSFチックなお話かと思って読み始めたのだが、炭鉱の町、大牟田を舞台に、ある警察官の若い頃から定年近くまでの長いタイムスパンを描く作品。推理小説的でもあるが、友人たちの交流や内面描写が心を打つ。お風呂で読了。
疾走/重松清 ★★★ 2018/07/13
有明海近くに住む中学生の男の子が、不幸になっていくお話といえばいいのだろうか。兄が放火で捕まり、父は出奔、母は借金を作り、と家庭が崩壊してく様が良かった。家を飛び出し、大阪でヤクザを殺したりする後半の展開がやや雑で残念だったが、スラスラ読めた良作。
天の方舟/服部真澄 ★★☆ 2018/06/27
貧乏家庭で苦労した女が甘い汁を吸うのを夢見てODAの開発コンサル会社に入り、ズブズブになっていくというのが前半の話で、ズブズブに嫌気が差してサスペンまがいなことをやらかすのが後半の話。前半はまあまあ面白かった。
水神/帚木蓬生 ★★★ 2018/06/24
水に困っている地域の庄屋たちが川から水を引くお話。悪役めいたものはほぼ登場せず、淡々とよいお話が綴られていく。歳をとったからか、つらい話を読むの心が痛むので、本作のようなのんべんたりとよい話が続くというのがよい。
空白の叫び/貫井徳郎 ★★★ 2018/06/20
破滅していく3人の少年の内面を描くお話。少年院内の様子や、後半に出てくる瀬田の異様な能力に不自然さを感じつつも、とても読み応えがある内容で、今年の読書の一番の候補かな思う。
バンギャル ア ゴーゴー/雨宮処凛 ★★★ 2018/06/14
バンドの追っかけに青春をかける少女達のお話。はじめラノベかなと軽い気持ちで読み始めたが、悩みながら成長していく過程が生々しく描かれていて、読み応えがあった。
悪の扉/和久峻三 ★★☆ 2018/06/09
タイトルに惹かれて読み出したが、株取引のお話でスタート。後半は、老いぼれ弁護士の活躍するお話と、あんまり悪っぽくないのだが、全体的にライトな小説で、30年前の作品ということもあり全体的に微妙だったが、スラスラ読めた。
0 件のコメント:
コメントを投稿