2021年4月29日木曜日

くちなし/彩瀬まる ★★★ 2021/04/29

短編集だが、一部を除き、SF的な変わった世界に住む人たちの暮らしを描いていて、すごいなと思う。運命の男女の間でのみ見えるという体に咲く花についての「花虫」もいいし、中年女と床屋の親父との交流を描く「茄子とゴーヤ」もよかった。長編も読んでみたい。


2021年4月25日日曜日

点をつなぐ/加藤千恵 ★★★ 2021/04/25

コンビニのスイーツを開発する仕事をしている30前の女が、仕事に追われながらも過去の恋愛を思い出したり、昔好きだったと言ってきた元同級生のことが気になったり、取引先の男性社員に好意を感じたり。なにかが進展していくわけではないのだが、日常を頑張りながら過ごしていく様子をまったりと描く良作。


2021年4月24日土曜日

架空の犬と嘘をつく猫/寺地はるな ★★★ 2021/04/24

家族に恵まれないという少年山吹が成長していくお話。バイトで出会い人生をともにする頼(より)が可愛らしい感じで好感。薄幸の美少女設定のかな子がトリックスターの役回りでいまひとつのように思うのだが、全体としてまったりとしていて良い作品。


2021年4月19日月曜日

いっちばん/畠中恵 ★☆☆ 2021/04/18

ひらがなの題名で畠中恵の小説がたくさん並んでいたので、面白いのかなと手にとったところ、シリーズ物だったりしたので、続き巻ではないものとしてこれを選んだ。江戸を舞台にした時代小説であやかしと称する小さな妖怪が出てくる、コミカルなお話。う~ん、肌に合わないなあと思いつつ読み進めたが、49ページでドロップした。


2021年4月16日金曜日

レインツリーの国/有川浩 ★☆☆ 2021/04/15

好きな本を巡ってネットで知り合った男女がメールでやり取りを続けて実際に会うのだが、女のほうが聴覚障害者でそのことを巡って喧嘩になったりしつつもお互いの理解を深めていく、という感じの話なのだが、メールでの会話が読んでられないというか、男の関西弁のメール文章が読んでて恥ずかしい。メール部分を飛ばしながら122ページあたりでドロップした。ドラマみたいな形だったらすんなり来るかもと思っていたら、ドラマ版があるみたい。上の「お互いの理解を深めていく」というのは予想で、驚きの展開があるのかもしれない。


2021年4月15日木曜日

帝国の女/宮木あや子 ★★☆ 2021/04/15

テレビ局のプロデューサーや宣伝担当、脚本家、テレビ雑誌記者など、むかしふうにいうギョーカイの女たちのお話。それはいいのだが、片岡というマネージャーが、極道一家に生まれ両親が殺されたときに連れ去られておもちゃにされていたというエピソードは余計。そんなのを読んで楽しくないよね。


雪に咲く/村木嵐 ★★★ 2021/04/15

読み始めは時代小説かと思ったが、越後騒動を題材として歴史小説で、伊達騒動を扱った「樅ノ木は残った」同様に事件で断罪された人物を良い人物として描く形式の作品、ということに途中から気がついた。そういうトリックというかテーマであることを外しても、そこそこ楽しめる内容だった。浅茅との関係とかちょっとしんみりするが、重要ばキーである雅楽頭との厚い関係が嘘くさい雰囲気なのが残念だが、全体として力作だなと思った。


2021年4月14日水曜日

騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編/村上春樹 ★★☆ 2021/04/13

村上春樹にしては読みやすいお話で、1Q84に近いタイプ。

上巻:離婚して放浪して山奥に住んでと、村上春樹にしては読みやすい流れだなあと思っていたら、石の下から鈴の音が聞こえてきて不思議な流れに。続きが気になる。 

下巻:不思議な流れから、イデアと自称する騎士団長が登場。主人公にしか見えないようだが、なぞの人物、免色から依頼された娘の話も気になるところで第2部へ続く。


2021年4月12日月曜日

坂道の向こう/椰月美智子 ★★★ 2021/04/12

介護施設で働く4人の若い男女を中心として、章ごとに主人公が変わる形式の小説。卓也と付き合っていた朝子が正人を奪い、正人の元彼女の梓が卓也と付き合い出すという、ややいびつな男女関係の設定なのだが、緩やかな文体で、ゆったりと読めた。


2021年4月8日木曜日

ただいまが、聞きたくて/坂井希久子 ★★☆ 2021/04/08

冒頭、女子高生がサラリーマンからパンツを売ってくれと言われるシーンがあって、どんな話なんだろうと思っていたら、大宮あたりに住む娘二人の4人家族を中心に、章ごとに主人公が異なる形式の小説。しんみりするエピソードもあり、そこそこ楽しめる内容だった。


2021年4月7日水曜日

夜の桃/石田衣良 ★★☆ 2021/04/07

石田衣良は代表作とされる池袋ウエストゲートパークが今ひとつだったので、ながらく見向きもしなかったのだが、らららクラシックの司会をしていたときの印象は悪くなかったので、もう一度と思って手にとったのがこれ。官能小説然としており電車の中で読むのが恥ずかしかったが、四角関係から3人の女すべてに去られるラストまで、そこそこ楽しめる内容だった。


2021年4月4日日曜日

あのこは貴族/山内マリコ ★★★ 2021/04/03

慶応大学に内部生と呼ばれる幼稚舎から上がってきた上流階級の子弟がいて、外部生と呼ばれる大学入試で入ってきた人たちとは一線を画しているという映画を最近見たところなので、ややストンと落ちるところがあったが、そんな内部生の青木幸一郎が、日本の上流階級に育った華子と見合い結婚しつつも、慶応大学時代に知り合った地方出身の美紀とも関係を維持しよとするお話なのだが、上流階級の暮らしを垣間見れるだけでも楽しめる作品だった。