2019年7月27日土曜日

ダブル・ファンタジー /村山由佳 ★★☆ 2019/07/26

女脚本家が外で男と交渉を持つようになったら、夫との交渉を毛嫌いするようになった、という流れが個人的に身につまされる。メールの文面とかは読み飛ばしたが、上巻はまあまあな感じかな。 下巻になり、ますます奔放に自由になっていく奈津。上巻はやや退屈に思えたメールの文面も楽しめるようになってきた。省吾とよりを戻すんじゃないかと心配していたが、吹っ切っていく感じでなかなかの良作かな。

風の砦/原田康子 ★★☆ 2019/07/26

時代小説。主人公の香織のいいなづけ菊が実は好きな人がいると拒絶する冒頭の出だしが、藤沢周平とか思い起こされ名作の予感がしたが、蝦夷地へ旅立っての暮らしぶりが冗長で退屈。香織が逃した蝦夷人シセクが傍若無人でついには親友の雲平まで殺され的な江戸時代青春小説という感じになってきた。美人という設定のショルラ、どんな感じなんだろう。映像化したら楽しくないんだろうな。

モダンタイムス/伊坂幸太郎 ★★☆ 2019/07/26

浮気調査のために妻が雇った男に拷問される、突拍子もない設定に心惹かれたが、22世紀なのか現代とそう変わらない、でもへんてこりんな世界でのお話。下巻で登場する奥さんがあっけらかんとしていてかっこいい。ついに発揮した超能力が他人に腹話術するというものが面白かったが、総論として、軽妙な文章で読みやすいが、やや退屈に感じる部分もある。

2019年7月26日金曜日

喜の行列 悲の行列/藤田宜永 ★★☆ 2019/07/25

定年近いおっさんが、妻と娘からのリクエストでデパートの初売り福袋に二日前から行列に並ぶが、彼を取り巻く人たちが絡み合っていろいろな騒動が起こる的なお話。ややサスペンス。全般的にコミカルか。良作とまではいかないが、読みやすかった。

2019年7月22日月曜日

ここ過ぎて―白秋と三人の妻/瀬戸内晴美 ★☆☆ 2019/07/20

北原白秋の三人の妻の二番目、江口章子に関するお話のようだが、50ページあたりまで作者による調査の状況がつづく。読みにくい文体というわけではないが、今ひとつ入り込めずにドロップ。瀬戸内晴美は読んでみたいと思っていたので、伝記もの以外で再挑戦したい。

2019年7月16日火曜日

蝶々さん/市川森一 ★☆☆ 2019/07/15

オペラ蝶々夫人のモデルとなった長崎の女性に関するお話。江藤新平の書生となるべく駆けずり回った青年が佐賀の乱の前夜に刺殺されるところまで読んでドロップ。60ページくらいか。読みにくい文体というわけではないのだが、今ひとつ引き込まれなかった。

2019年7月12日金曜日

水底の森/柴田よしき ★★★ 2019/07/12

顔の潰された死体が見つかった部屋の住人、風子が行方不明となり、という出だしでサスペンスもの推理小説ものっぽい雰囲気なのだが、逃亡を続ける風子の幼少期からの生き様を丹念に描かれており、とても惹きつけられる。あてどなく流されていく人生、なんだかそういう感じ。
風子を追っていた刑事の要が破滅に向かう驚き。風子についての謎がしっとりと解き明かされる。2019年に読んだ本の中で一番ではないだろうか。この本に出会えてよかった。

2019年7月11日木曜日

父の肖像/辻井喬 ★☆☆ 2019/07/09

明治期の政治家の半生を描く、というお話かな。貧農から身を起こして大隈重信に近づき、奥さんを何度抱えたり破天荒系だが、文章がやや地味。一度に10ページ程度のお風呂読書だったが100ページ程度でドロップした。

2019年7月6日土曜日

マスカレード・イブ /東野圭吾 ★★☆ 2019/07/02

マスカレード・ホテルの登場人物である刑事とホテルのフロント係の女が出てくる短編集。時系列的にはマスカレード・ホテルの前。小気味よい推理短編という感じなのかな。

乱紋/永井路子 ★★☆ 2019/07/05

浅井三姉妹の三女おごうを、侍女のおちかの目を通して描く歴史小説。ときどき登場するちくぜんがあやしいが、上巻はおごうのこともよく描かれていてコクもあったが、下巻の特に後半は、お茶々を中心に話が進んでいくようになり、ネタ切れなのかな。やや残念は印象。ちくぜんの正体を明かさないほうが良かったね。読みやすい娯楽戦国モノ。