2019年12月24日火曜日

苦役列車/西村賢太 ★★☆ 2019/12/24

聞いたことのある題名で、Wikipediaの純文学のところに挙げられていたので手にとった。中卒で日雇いでしのいでいる男がグズグズしているようなお話で悪くない。私小説の分野らしく、作者の経験が投影されているのかもしれない。もう一遍収められている「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」も主人公は一緒。やや文語調の文体で読みづらいとまでは言わないが、のめり込むほどの面白さはないかな。

2019年12月23日月曜日

放浪記/林芙美子 ★☆☆ 2019/12/23

桐野夏生のナニカアルに触発されて林芙美子に興味を持ち代表作の放浪記を手にとったのだが、日記形式の作品で読みづらく、116ページでドロップした。

キッチン/吉本ばなな ★★☆ 2019/12/23

キッチン、満月-キッチン2、ムーンライト・シャドウの3つの短編からなる。表題作のキッチンは、恋愛っぽい要素が薄くのんびりした感じがよい。続編の満月-キッチン2は、お互い愛情に気がついてカツ丼を届けるとか、やや退屈な展開かな。恋人を失ったもの同士の交流を描くムーンライト・シャドウもそこそこ佳作。

精霊探偵/梶尾真治 ★★☆ 2019/12/23

背後霊を見れる男が、妻を亡くした悲しみから立ち直るために探偵の真似事を始めたところ、人に憑依する謎の生命体の陰謀に立ち向かうことになる、というファンタジーもの。途中で仲間になる小夢ちゃんが頼もしくてよい。毎章8ページという構成も読みやすい。

2019年12月22日日曜日

鯨の王/藤崎慎吾 ★☆☆ 2019/12/21

潜水艦の乗組員が謎の死を遂げたりして、どうも未知の巨大クジラによるものだとして、民間の学者と米軍が深海に挑むという海洋サスペンスという感じかな。あんまり面白くなくて、278ページでドロップした。

2019年12月21日土曜日

ナニカアル /桐野夏生 ★★☆ 2019/12/20

放浪記で有名な林芙美子が、従軍作家として南方取材に旅立った際の手記が見つかったとして、林芙美子の遺族と出版社との手紙のやり取りも交えながら語られていくのだが、林芙美子が南方で新聞社の愛人と関係を持って身ごもり、生まれた子供を貰い子として夫と育てる的なストーリーで、実話なのかなと思いながら読んでいたのだが、解説によると創作とのことで、小説家ってすごいなと思いました。

2019年12月20日金曜日

太陽の坐る場所/辻村深月 ★★☆ 2019/12/20

高校時代の同級生で女優として活躍しているキョウコというのがいて、彼女を同窓会に誘おうという感じで、同級生の語り部を変えながら話が進むのだが、高間響子というのが高校時代は女王様然としていたという話が展開し、てっきり彼女がキョウコかと思っていたら、最後の方に鈴原今日子の方だったとわかり、ややびっくりした。各登場人物が語るエピソードも若気の至り的な内容で悪くない良作だった。

スティル・ライフ 池澤夏樹 ★★☆ 2019/12/20

Wikipediaの純文学のところで挙げられていたので読んだ。表題作とヤーチャイカの2つの中編が収められていた。スティルライフは染色工場で働く青年がそこで知り合った年上の男の投資活動をする話。ヤーチャイカはテレシコワのわたしはカモメのロシア語だが、ロシアから来た貿易商と父娘との交流。でも、娘の夢の中なのか恐竜を飼っている挿入話もあってもやや幻想的。正直なところ、さほど楽しくはなかったが、最後までちゃんと読めた、というところ。

2019年12月14日土曜日

学問/山田詠美 ★☆☆ 2019/12/14

山田詠美って名前は知っていたので手にとった。冒頭は小学生の子供が登場人物のお話で、ちょっと苦手。このあと登場人物が大きくなった話になるようだが、読んでいてイライラしてくるので62ページくらいでドロップした。ただ山田詠美はソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリーとか読んでみたい。

あぽやん/新野剛志 ★☆☆ 2019/12/14

成田空港でツアー客の出発をサポートする仕事をするお話。続編もあったので面白いのかなと思って読み始めたが、どうでもいいことが起こるエピソード形式のお話で、ややつまらないかな。読み切ってもよかったのだが、197ページでドロップした。

2019年12月12日木曜日

裏山の宇宙船/笹本祐一 ★★☆ 2019/12/12

上巻:部活で天女伝説を取り上げようとして、裏山で宇宙船を発掘してしまう高校生たちを描く、青春SFという感じ。文化系のクラブで、女子2人と男の子2人くらいが出てくるだけという構成。良くもなく悪くもなく、流し読みしつつも上巻を読み切ったので、下巻に突入する。
下巻:夏休みの間に、裏山で見つかった宇宙船。コールドスリープ中の宇宙人を起こしたりしながら、やがて宇宙に返してあげるという青春SFもの。お風呂読書で、適当に読み飛ばしながら読破した。まあ、普通。というかSFものは肌に合わないのかな。

2019年12月10日火曜日

流れ星が消えないうちに/橋本紡 ★★☆ 2019/12/10

死んでしまった加地くんの元カノ奈緒子と友人巧くんが付き合いながら、加地くんをしのび思い出とともにいきていくことを決意していくというような、まったりしたお話。もうちょっとしっとり読めるとよいのだが、まあまあよかった。

2019年12月7日土曜日

オービタル・クラウド/藤井太洋 ★★☆ 2019/12/05

上巻:北朝鮮がテザー推進システムとかいう新技術を導入した人工衛星を神の鉄槌という兵器のように偽装して、西側の民間宇宙ステーションを機器に陥れようとするのを、日本の民間人が米軍と協力して阻止しようとするというようなお話。SFにスパイ要素を足したような作品。テザー推進とかいうのが本当にあるのか不明。ネタバレになりそうなので、調べない。これまでハヤカワの日本人作家ものをいくつかもドロップしてきたので、順調に読み進められて嬉しい。下巻に突入する。
下巻:テザーとかいう新しい駆動方式で動く人工衛星をめぐる、日本のベンチャーのエンジニア、北朝鮮工作員、米軍とかが絡むSFサスペンスという感じ。ハヤカワの日本人作家ものを久しぶりに読破できてよかった。読み続けるだけの面白さはあったという感じ。

2019年12月4日水曜日

老いの入舞い 麹町常楽庵 月並の記/松井今朝子 ★☆☆ 2019/12/04

時代小説。常楽庵の庵主とか妙な老女がキーになるような、捕物帳なのか、まあそういう話なのだが、面白みが薄くて読むのが辛くなり、100ページくらいでドロップした。

錨のない船/加賀乙彦 ★★☆ 2019/12/04

上巻:外交官の父とアメリカ人の母との間に生まれた日米ハーフの来島健は日本陸軍のパイロット。父が特使として戦争を避けるべくハルやルーズベルトと交渉するも実らずハワイ攻撃が起こる。健は新型戦闘機の開発のためのテストパイロットとして活躍する。
下巻は、戦争が激化して母方の親戚と戦ったりするのかな。モデルの人物がいるのかもしれない。
下巻:主人公だと思っていた健があっさり戦死。でもマギーに子供を仕込んでいた。このマギーの扱いがちょっと雑だなあ。産後、結核だか肺炎であっさり死んで、安奈と山田が結婚して面倒をみる。後半、外交官の夫が死んで、あとはアリスが自由気ままに生きていくというお話でやや蛇足かな。あとがきによるとモデルは来栖三郎とのこと。まあまあの作品。

2019年11月30日土曜日

誘惑/北原亞以子 ★☆☆ 2019/11/30

序章は悪くなく、しっとりした時代小説かと思ったのだが、本編に入って、由比正雪がどうだこうだいって面白くなく、110ページほどでドロップした。

絹屋半兵衛 あきんど/幸田真音 ★★☆ 2019/11/29

上巻:彦根の商人絹屋半兵衛が磁器に魅せられて職人を雇い窯を興す時代小説。しっとりし語り口で、半兵衛のつま留津も感じよく、安心して読める。彦根藩に窯を召し上げとなり、下巻がどうなるか気になるところ。家督を継ぐ前の井伊直弼が登場したので、下巻で絡んでくるのだろう。
下巻:半兵衛とその妻、留津との相手を思いやるやり取りに心があたたまる。105ページ「わしらに子供ができんかったのも」というくだりを何度も読み返した。井伊直弼との絡みも、上巻はよかったのだが、下巻は史実を追っているような感じがして残念。

2019年11月24日日曜日

日本核武装/高嶋哲夫 ★☆☆ 2019/11/23

核武装した日本のお話かと思って手にとったが、核武装についてのレポートが発見され、そのもみ消しに走る官僚としてお話がスタートする。日本でも短期間に核武装できる準備はできているといった話は聞いたことがあるが、それをベースにしているのだろうか。やがて黒幕のような人物が現れ、この先、主人公の官僚が感化されて核武装論に傾くのかもしれないが、ここまでの内容が浅くて読む気が失せる。260ページあたりでドロップした。

2019年11月23日土曜日

キャプテンサンダーボルト/阿部 和重、伊坂 幸太郎 ★☆☆ 2019/11/22

人生がうまくいっていない元野球部員の二人によるドタバタ劇という感じ。ひょんなことからロシアンマフィアみたいな連中に追われることになるが、テンポがあまり良くないというか、読むのが面倒になってきて207ページあたりでドロップした。

2019年11月16日土曜日

虚栄/久坂部羊 ★☆☆ 2019/11/15

癌が凶暴化しだしたとかで、外科、内科、放射線科、免疫医療の4つの癌診療チームがタッグを組んで、凶暴化した癌に取り組むことになったが、各チームの思惑があり、さらにそれを取材するジャーナリストが、といったドラマ。癌凶暴化というところがいまいち真実味が薄く、医局内の出世争いという話も面白みが薄くて、140ページくらいでドロップした。読みにくいわけではないが、読んでいても面白くない。

2019年11月11日月曜日

波止場浪漫/諸田玲子 ★☆☆ 2019/11/10

大正とか明治の頃の静岡県清水市のお話なのかな、清水の次郎長がどうだとかその妻がどうだとか、そういう文字面が目に入る。読みづらいわけではないので、85ページで読み進めたが、面白くないのでドロップした。